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J.P.モルガン ノートブック:大手製薬企業が語るワクチン、AI、そしてMFN

2026年のJ.P. Morgan Healthcare Conferenceでは、大手製薬企業が直面する政策環境の変化、AI活用の加速、及び肥満症・慢性疾患領域での競争激化など、業界の優先トピックが鮮明になりました。


1. Sanofi:ワクチン領域で積極的なM&A姿勢を維持

米国での反ワクチン論争に揺れる環境下でも、Sanofiはワクチン事業へのコミットメントを明確化。
Dynavax や Vicebio の買収により、肝炎、帯状疱疹、RSV などのパイプライン拡充を進めている。
CEOの Paul Hudson 氏は、政策不確実性がある今こそ競争が減り、ワクチンM&Aに有利な時期だと強調した。


2. BMS:MFN(最恵国価格)政策への対応とグローバル価格設定の再考

BMS は米国政府との MFN 合意により、Eliquis の無償提供や原薬の寄付、主要医薬品の大幅値下げに踏み切る方針を説明。
将来の薬価においては「米国と同等水準を各国にも求める」とし、国際市場での価格調整を示唆した。
同社は Cobenfy を英国でも米国と同価格で発売する計画で、グローバル価格戦略の見直しが進んでいる。


3. Boehringer Ingelheim:肥満症・MASH の大型データを控え攻勢へ

BI は GLP-1/グルカゴン二重作用薬 survodutide のフェーズIII試験6本の結果を2026年にまとめて発表予定。
肥満症市場を「25年前の2型糖尿病市場に似た黎明期」と位置付け、多剤併用・新規機序への拡大を示唆した。
肝機能改善と代謝指標の両面から差別化を図る構え。


4. AstraZeneca:Modella AI 買収でAI基盤を強化

AstraZenecaは Modella AI を買収し、画像病理モデルやバイオマーカー解析の能力強化を狙う。
既存の QCS モデルに加え、オンコロジー領域でのターゲット選定や診断連動型治療開発を加速。
Tempos AI / Pathos AI との協業に続き、基盤モデル戦略を本格展開する姿勢を示した。


5. Gilead:外部イノベーションで免疫・炎症と細胞治療を強化

Gilead は、ウイルス領域は内製強いものの、免疫・炎症領域では外部技術への依存度が高いと説明。
STAT6 degrader などの導入により炎症領域のパイプライン強化を推進。
Kite Pharma 経由で in vivo CAR-T など次世代細胞治療開発にも取り組む。


6. GSK:AIで臨床成功率の改善に自信

GSK はAIを Phase II の attrition(フェーズ落ち)削減に活用し、遺伝データと患者選択の最適化を進めていると報告。
Exdensur(半年に1回投与の喘息向け生物製剤)の承認など、AI支援型R&Dが実成果を生んでいることを強調した。


7. Samsung Bioepis:バイオシミラーから新薬へ事業拡大

Samsung は2030年までに20のバイオシミラー取得を目指すと同時に、新薬創出にも本格参入。
初の新薬 SBE303(Nectin-4 標的ADC)が米国INDを取得しており、年1本の新薬を臨床へ進める計画。
Epis NexLab を通じペプチドデリバリー技術にも投資し、韓国発のグローバル大手を目指す。


総括:2026年の大手製薬は「外部イノベーション × AI × 新規領域拡大」へシフト

今回のJ.P. Morganでは、以下の潮流が明確でした:

  • 外部イノベーション獲得に向けた買収・パートナーシップの加速
  • AIを核にしたR&D効率化の本格化
  • 肥満症・炎症・オンコロジーでの新規機序競争の激化
  • 政策・薬価圧力への適応としての価格戦略再構築
  • サプライチェーンやグローバル展開を視野に入れた長期的成長戦略

特に、外部アセットの統合とAI活用は各社共通のキーワードとして浮かび上がっており、今後の動向が期待されます。

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