2026年 臨床試験完了レポート

『2026年 臨床試験完了レポート』では、医薬品開発の未来を形作る重要なシグナルを明らかにします。年ごとの臨床試験完了データの変化を分析することで、治療領域がどのように進化しているのか、どの試験フェーズで勢いが高まっているのか、さらにどのスポンサーや試験結果が競争環境を再定義しているのかを可視化します。終了したばかりの動向を理解することで、次に何が起こるのかを最も明確に見通すことができるのです。

レポートのハイライト

  • 2025年の完了臨床試験数は前年比11%減少
    2025年に完了または主要評価項目を達成した業界主導の臨床試験数は4,364件となり、前年(4,903件)から11%減少。多くの治療領域で試験数は減少したが、全体としては「量より質」へのシフトが明確になった。
  • 成功率は上昇し、「質の高い試験成果」が顕在化
    25件以上の成功試験を有する疾患・スポンサーにおいて平均成功率が上昇。主要評価項目を達成した試験やポジティブなピボタル試験の割合が増加し、成功率は業界全体で2024年の33%から2025年には36%へ改善した。
  • オンコロジーは引き続き最大の治療領域
    オンコロジーは1,421件の完了試験で引き続き全治療領域中トップを維持。試験数は前年比でわずかに減少(-3%)したものの、後期フェーズ(Phase II後半~III/IV)の試験数は13%増加し、成熟度の高い開発が進展している。
  • 代謝・内分泌(met/endo)が初めてトップ3にランクイン
    肥満および2型糖尿病を中心とした試験増加を背景に、代謝・内分泌領域が初めてトップ3治療領域に浮上。GLP-1関連試験が成長を牽引した。
  • 完了試験数は減少する一方、後期フェーズは回復基調
    多くの治療領域で早期フェーズ試験は減少したが、オンコロジーおよび代謝・内分泌では後期フェーズ試験数が増加。承認を見据えた開発への集中が示唆される。
  • 希少疾患、特にオンコロジー希少がんへの注力度が拡大
    主要評価項目を達成した25件以上の試験を有する疾患の多くはオンコロジー領域で、希少がんが多数を占めた。希少疾患研究への継続的なコミットメントが明確に示されている。
  • トップスポンサーは引き続き大手製薬が中心
    Merck & Co.が2年連続で完了試験数トップを維持。AstraZeneca、Roche、Eli Lilly、Pfizerなどが主要治療領域で高い存在感を示した。一方で、AOP(その他製薬企業)の存在感も引き続き大きく、パイプライン創出に貢献している。
  • パイプラインは拡大、特に新規MOAが増加
    ポジティブなピボタル試験に紐づくパイプライン医薬品数は前年比23.4%増加。オンコロジー、自己免疫/炎症、代謝・内分泌の各領域で新規作用機序(Novel MOA)を有する薬剤が増え、将来の市場投入に向けた厚みが増している。
  • 規制・地政学的要因が試験環境に大きな影響
    各国で臨床試験承認プロセスの迅速化が進む一方、米国の関税政策、研究資金削減、ウクライナ情勢などが試験実施数や地域分布に影響を与え、2026年以降も不確実性が継続する見通し。

よくある質問(FAQ)

Q. パイプライン医薬品にはどのような変化が見られましたか?

A.ポジティブなピボタル試験に関連するパイプライン医薬品数は前年比で23.4%増加しました。オンコロジー、自己免疫/炎症、代謝・内分泌の各領域で、新規作用機序(Novel MOA)を有する薬剤の数が前年より増えています。

Q. 規制環境の変化は、臨床開発にどのような影響を与えていますか?

A.レポートでは、各国で臨床試験承認プロセスの迅速化が進んでいる一方、米国の関税政策、研究資金削減、地政学的緊張などが臨床試験実施数に影響を及ぼしているとしています。これらの要因により、2026年以降も不確実性が続く可能性が示唆されています。

Q. なぜ2025年は、完了した臨床試験数が減少したのですか?

A.2025年に完了または主要評価項目を達成した業界主導の臨床試験数は4,364件となり、前年比11%減少しました。これは、規制環境の変化、政府機関の機能停止による登録遅延、資金削減、地政学的要因など、複数の外部要因が重なった結果とされています。

Q. 希少疾患は、臨床開発においてどの程度重要な位置を占めていますか?

A.主要評価項目を達成した25件以上の試験を有する疾患の多くはオンコロジー領域に属しており、その中には複数の希少がんが含まれています。レポートでは、希少疾患研究への継続的な注力が明確に示されています。


著者について

Drew Muscara

Trialtrove Analyst, Citeline

Drewは現在、サイトラインにおいて循環器・代謝領域、ワクチン、感染症、泌尿生殖器領域の臨床試験インテリジェンスを担当しています。多様な用途に向けた高度なデータ分析を得意としており、その手法を活用して「Ask the Analyst」における詳細な回答を構築しています。
また、アナリストベンチチームの一員として、クライアントのニーズに応えるさまざまなカスタムコンサルティングプロジェクトにも携わってきました。
2021年にサイトラインへ入社する以前は、免疫学やループス、細胞アポトーシスに関する研究にも従事していました。当該研究では、ループスを発症した動物由来の細胞培養を用い、遺伝子発現の相対的な違いを特定することに注力していました。

Alexander Noll

Trialtrove Analyst, Citeline

Alexanderは現在、サイトラインにおいて自己免疫、中枢神経系、眼科領域の臨床試験インテリジェンスを担当しています。アナリストベンチでは、パイプライン分析・可視化や希少疾患の疫学に関するプロジェクトに携わってきました。サイトライン入社以前はミネソタ大学にて、慢性疼痛に関する前臨床および臨床研究に従事していました。ミネソタ大学で神経科学の学士号および薬理学の修士号を取得しています。